当店で使用している焙煎機は札幌市白石区焙煎研究所オリジナルの焙煎機です。試作6号機というネーミングです。手廻し式の焙煎機で熱源は選べますが、当店では遠赤外線コンロを使用しています。焙煎機には大まかに熱風式、半熱風式、直火式という熱源がありますが、当店は直火か半熱風か正式にはどちらになるか分かりませんがどちらの特徴も出しやすい焙煎機です。それぞれに良さがありますが一般的には熱風⇨均一に火が通りやすい、直火⇨香ばしくなる、といった特徴があります。私が焙煎時に心掛けていることは芯まで熱を通す事と焦がさない事です。どういうことかと言いますと、きちんと焙煎した珈琲には甘味がある、これが持論です。甘味を引き出すにはドリップにもコツはありますが、豆がしっかりと中まで火が通ると甘味が出ます。これにはじっくりと火を通す必要があります。難しいもので焙煎時間が長くなるとその分香りが失われます。かといって早く火を通そうとすると表面だけが焦げてしまい旨味が充分に引き出されないばかりか青臭さが残ってしまいます。機械で温度帯や排気を調整する焙煎機もありますが、そこは手廻しで微調整していきます。序盤はドラムの加点速度を少し早めにして熱風に近い火の入れ方で芯に熱を入れていきます。この時に遠赤外線が強さを発揮します。そして充分に中まで火が通りいわゆる蒸らしが終わったら排気バルブを調整し炉内の温度を上げ焼きの工程に入ります。ここからはドラムの回転速度を遅くし直火に近い状態で焼いていきます。ここで香ばしさを出していきます。ここからは煎り止めのタイミングを考えながら音、色、香りで判断していきます。この作業を全て手で行うのが手廻し式焙煎機の醍醐味です。機械は再現性も高くて手間もかからず出来たものの味と焙煎のデータを見ながら調整していく作業ですが、当店の焙煎機は余熱や投入温度、ドラムの回転速度、排気量、蒸らしから焼きの工程、温度変化と時間を見ながら手を掛け状況を判断して見極めていく作業です。ちょっと早かったかな?温度が高いかな?と毎回自問自答しながら時には会心の出来!と全てが考えた通りにいくこともあります。毎回味見をするのが楽しみです。手廻しなので機械に比べると再現性は劣るかもしれませんが、概ねこのくらいにしたいというレンジに収まります。狙い通りにならなかったと自分では思っても出来上がりは予期せぬ大成功なんかもあり本当に奥深く楽しい作業です。初めて焙煎をした時とても楽しかったです。趣味でやっているから楽しいのかと思っていましたが、初めての時に感じた楽しさは今でも続いています。好きな事を仕事として出来るという事はとても有り難く幸せな事だとつくづく感じます。色々と好きに書きましたが焙煎や珈琲に興味を持って頂ければ幸いです。珈琲はとても素晴らしく奥が深い世界で人生を豊かにしてくれるものです。
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